湯立神楽
Yutate-kagura (Boiling Water Ritual) (ゆたてかぐら)
煮えたぎる湯を笹の葉で撒き散らす浄化の神事
湯立神楽は、神楽の奉納と沸騰した湯による浄化を組み合わせた迫力ある神事である。境内に据えた大釜で湯を沸かし、神職や巫女が笹の束を煮えたぎる湯に浸して参列者に振りかける。聖なる湯気と湯滴を浴びることで穢れが祓われ、無病息災がもたらされるとされる。
起源は沸騰する湯の振る舞いで吉凶を占う古代の湯立て(湯起請)にあり、やがて浄化の儀礼へと発展した。立ち上る湯気と飛び散る熱湯の光景は、通常の神社参拝の静寂とは全く異なる原始的な迫力をもたらす。
関東・中部地方の神社に特に多いが、全国各地に類似の儀礼が存在する。主に冬の祭事で行われ、冷たい空気の中で湯気が白く立ち上る様が最も壮観である。火と水の変容的な力による浄化——自然の力を通じて穢れを祓うという神道の概念を力強く体現する儀礼である。