Kami (Divine Spirit / Deity) (かみ)

神道における神聖な存在。神々・自然霊・祖霊などを含む

神(かみ)は神道の中心概念でありながら、簡潔な定義が極めて難しい。英語では 'god' や 'deity' と訳されることが多いが、一神教の「God(唯一神)」とは根本的に異なる。江戸時代の国学者・本居宣長は、畏敬の念を覚えるものすべてを神と定義した。天照大御神や素戔嗚尊のような大いなる神話の神から、山・川・木・岩・動物・祖霊・さらには生きた人間に至るまで、畏怖と崇敬の対象はすべて神となりうる。

「八百万(やおよろず)の神」という表現は、神道における聖性が自然と人間の経験のあらゆる側面に浸透しているという理解を象徴する。これは西洋的な意味での多神教とも異なる。固定された神々のパンテオンというより、聖なる存在が流動的に浸透し合う世界観である。一つの自然物が一柱の神であると同時に、多くの神が宿る場であることもありうる。

重要なのは、神が道徳的な意味で「善」とは限らないことである。穏やかで育む側面(和御魂・にぎみたま)と荒々しく破壊的な側面(荒御魂・あらみたま)の両方を持つ。嵐・地震・疫病は神の荒ぶる側面によるものとされた。神道の儀礼の役割の一つは、供物と祓いを通じて神との調和的な関係を維持し、神の穏やかな側面を引き出すことにある。

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